20日目 ② ラサ最後の夜 11月29日(月)

 夕方、バルコルを回っているうちに、例のカーボーイハットが、急に欲しくなり屋台の様な小さな店で買いました。ツバが平らで固いタイプのではなく、ちょっとアメリカのカーボーイ風なんですが、ソフトでグニャグニャにしても復元するタイプです。220元、2、860円。2〜3の店で値段を調べてみたら大体同じくらいで、これは高いとは思わなかったので無理に値切らないで買っちゃいました。180元まで行ったとしても 2、340円。高々340円くらいのことだと思ったからです。それよりベージュとカーキのどっちにしようかなーと思っていたら、店の女の子がサッと鏡を取り出して見せてくれたり、色々説明したり、隣りの店からハサミを借りてきて値札かなんかをとってくれたり、、、それで結局ベージュの方が似合うと言ってくれたので、ベージュにしました。
 私の頭は全く単純な構造です。

 バルコルを回ると向さんの中華食堂か、おしゃれなカフェMakye Ame Restaurantがお決まりのコース。今日も向さんに明日成都に戻る旨挨拶をしてから、カフェに行きました。ここのスタッフも愛想が良くて気が利いて気持ちがいいです。こういうおしゃれな高い店ばかりに来ても地元の事、チベットの事はわからない、とも言えます。しかし、中国の一部となっているこの地で暮らすチベット人としてはなんでもやって行かないとならない。毎日の生活がある。英語が話せるならやはりホスピタリティというか、観光・サービス産業の職に就く事が出来ます。高いか安いか、地元民向けか旅行者向けかの別を問はず、まんべんなく見た方がいい。今度はもっと地方の村も行ってみたいです。
 
 さて、次はスノーランドホテルのレストランに行って夕食です。チベット料理。ヤクスープモモとヤクバターティー。濃いしっかりした味です。寒い地にはいい。11、12月くらいはまだまだ。1、2月くらいになるともっとこういう料理を食べたくなるでしょう。ここのスタッフもみんな気持ち良く、楽しそうに働いています。紫色の服が制服の様です。お客様が途切れません。欧米人客が7〜8割、あとがアジア系、つまり中国人と恐らく地元のチベット人風。

 国民総幸福指数で有名なブータンではありませんが、チベットの人達もニコニコしている人が多く、一見幸せそうに見えます。私が接するのが観光関係の人が多いのでそう感じるのかもしれません。しかし、地方から巡礼に来た多くの農民、遊牧民たちは生活に余裕があるわけではない。いつもニコニコしているというのではなく、必死な形相で祈りを捧げていると言った方が当たっている。バルコルをグルグル回って祈りを捧げている人達は、割りと足早で、結構人とぶつかったりあるいは押しのけるかの様に歩いています。何時間もズーッとコルラしている人もいるので、時間に余裕がないというわけでもないはず。朝の新宿駅構内くらいの混雑の中で、なんと五体投地をしながら回っている人もいます。地方から五体投地でやって来る人だっている。いくら時間があるはずでも、農閑期が3〜4ヶ月あったとしても、やはりこれでは余裕はない。何年もかかる、あるいは何年もかける。時間の感覚、何に価値を置くかが平均的な日本人とは大きく違います。現世に於いて善行を積み、来世も幸せである様にと必死に祈っている。

 ヤクホテルに戻り、フロントの女の子に明日、早朝8時頃チェックアウトするので、担当の人に伝えてね、と言ったら、その子が担当でした。ホテルでは夜勤があるのでなかなか大変です。彼女は英語、中国語、チベット語の3ヶ国語をペラペラに話す才媛です。

 さあ荷物を整理して、ビール飲んで早く寝ないと。