14日目② ラサ セラ・ゴンパ 問答修行・動画つき。11月23日(火)

 
 



 午後3時頃、問答修行がそろそろ始まるので、中庭に行きました。石畳ではなく、砕石というか小さい石を敷き詰めたところに赤い座布団が何十枚か所々に並べてあります。僧侶が少しずつ集まって来ます。ピタッと全員が一時にというのではなく、三々五々、マイペースで。基本的に二人一組で、一人が座り、もう一人は立っています。立っている方が何か命題を相手に突きつける、と同時に左手の平を右手でパーンと叩く。座っている方が答える。時に口喧嘩でもしている様に見えますが。前にも書いた様に笑いとかユーモアを感じます。丁々発止やり合っている。

 大体、年齢、修行のレベルが近い者どうしがペアになって問答を繰り返している様です。若い僧侶は16〜7才くらいからでしょうか。やたら元気に大きな振りでパーンと手を叩きます。中庭の奥の方のやや年配、2〜30才あるいは40くらいでしょうか、この人達はもっと力が抜けていて、パンと軽く、回数も少な目。若い僧侶の様に身体全体を大きく使ってパーンとやらない。問答の内容や僧侶の組み合わせにもよるのでしょうが、考える時間が多かったりします。でもたまに熱が入ってきてガンガンやっている人達もいます。
 
 周りを観光客が囲んで、ビデオや写真を撮っています。僧侶達は気にならないのかとちょっとこちらが心配してしまいます。ガイドのジェムツォさんに聞いてみたら、僧侶達は観光客のことは気にならないとのことでした。私は小1時間ほどの間、数回、年配の僧侶と目が合った時、会釈をしましたが、普通に挨拶をしてくれました。問答修行をしている僧侶とそばに座ってジャッジしいているのか、聞いている僧侶もいます。

 以前、私が日本語を教えていた時、あるフレーズを生徒全員に教え、意味と発音を理解させると、後は、どんどん生徒どうしで練習をさせました。その時も、大体レベルが近い生徒でペアを作ります。覚えたばかりの日本語を教室の中ではあるけれど、実際に使ってみることでさらに身につけ、相手の間違いや自分の間違いを正したりします。たまには二人とも間違ったまま練習していることもあるかも知しれません。注意が必要ですが、言葉を使う練習としてはとてもいいやり方です。

 熱を帯びてきたなーと思ったら、1時間くらいで終わったようで、それぞれスーッと立ち去りました。特にみんなが並んでありがとうございました、などと偉い僧侶に向かってお礼を言ったり、締めの言葉があるわけでもなく。始まった時の様になんとなくいつの間にか終わって、皆、中庭を後にします。
座布団は置きっ放しで。

 何かある種の感動を覚えます。実にシンプル。合理的。もちろんこれは修行のごく一部に過ぎないけれど、ああやって毎日トレーニングを積んでいれば実力が着くでしょう。意味はさっぱりわかりませんでした。